この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 考え込む様子の拓麻をそっと見守りながら、紗友莉も記憶を探ってみる。
 例によって、「何かの拍子に、拓麻にケガをさせてしまった」という覚えはある紗友莉だったが、今よろめいたのは紗友莉自身であり、「拓麻が言っているのは、そのときのことじゃない」と思う紗友莉。
 となると、紗友莉も思い当たる節はなかった。
 すると、拓麻がまた、事故現場でそうだったように、頭を抱えて苦しむような様子を見せたので、紗友莉は大急ぎで水を差し出し、拓麻の背中をさする。
 内心、「これが拓麻のおじさんおばさんにバレたら、もう二度と拓麻と逢えなくなっちゃう」と恐れながら。
 幸いにも、ブランコのそばにあったベンチで数分間休んでいると、拓麻はほとんど回復したので、紗友莉は心の底から安堵した。
 念のためしばらくそのままベンチで横になっていることを、紗友莉は拓麻にすすめると、拓麻は素直に従う。
 拓麻がゆっくり言った。
「このことは、誰にも黙っておいてくれ。それはそうと、今ふと頭に浮かんだんだけど……ここ以外に、紗友莉とよく一緒に遊んでた、空き地みたいな場所は覚えてないか? 固い土の地面に、雑草が生えてて……」
 紗友莉には心当たりがあった。
 そして、その場所こそ、拓麻にケガをさせてしまった場所じゃないかという気がしてくる紗友莉。
 そのことはトラウマなので、その場所へ行くことは普段なら気が進まない紗友莉ではあったが、今は状況が違う。
 拓麻の記憶を取り戻すためなら何でもしたい気持ちの紗友莉は、その場所へ案内しようと思った。
 が、この公園からその空き地までは、2キロ以上は離れていることもあって、紗友莉が言う。
「覚えてるよ。私の記憶では……その空き地で、拓麻にケガをさせちゃった気がする。ここから2キロ近くも離れてるはずだし、今の拓麻をそんな長時間歩かせたくないから、今日はやめておこうよ。それに今日はこれから美香や淳次君たちとお昼ご飯を食べる予定だし、そろそろ街に戻らないと。明日、その空き地に行ってみない?」
「俺の身体はもう平気だし、できるなら今すぐ行ってみたいんだけど……紗友莉がそう言うなら仕方ない。明日にしよう」
/166ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ