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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

淳次の部屋にて、シャワーを浴び、借りたタオルで髪や身体を拭いてから、リビングにちょこんと座る美香。
そうこうしている間に、淳次がコーヒーをいれて持ってきてくれた。
美香は内心「こういう気配りが出来る人だったんだ! 今になって初めて、淳次君がこういう人なんだって知ったかも」などと、少し意外に思っていたが、もちろん口には出さない。
淳次も腰を下ろしたが、何も聞いてこないので、美香から口を開く。
「何があったか、聞いてくれないの?」
「話してくれるなら聞く。話したくないなら、話さなくてもいいし」
淳次の優しさが身に沁み、美香は思わず淳次の胸に飛び込んで言った。
「私、記憶喪失にでもなっちゃいたいよ」
言った瞬間に、美香は自分の発言が軽率だったと気づいた。
淳次にとって無二の親友である拓麻がちょうど今、記憶を失って苦しんでいるのだ。
絶対に言ってはならない言葉を言ってしまったと思い、美香は青ざめる。
淳次は、普段の彼らしくもない、毅然とした態度で言った。
「美香に何があったのか、今の俺はまだ知らない。だけど、拓麻が今、記憶を失って苦しんでいるんだから、そういうことは言わないでくれ。拓麻の気持ち、美香だって分かってるんだろ」
母子家庭で育ち、男性から叱られるという経験をほとんどしたことがなかった美香に、その言葉が響いた。
そうこうしている間に、淳次がコーヒーをいれて持ってきてくれた。
美香は内心「こういう気配りが出来る人だったんだ! 今になって初めて、淳次君がこういう人なんだって知ったかも」などと、少し意外に思っていたが、もちろん口には出さない。
淳次も腰を下ろしたが、何も聞いてこないので、美香から口を開く。
「何があったか、聞いてくれないの?」
「話してくれるなら聞く。話したくないなら、話さなくてもいいし」
淳次の優しさが身に沁み、美香は思わず淳次の胸に飛び込んで言った。
「私、記憶喪失にでもなっちゃいたいよ」
言った瞬間に、美香は自分の発言が軽率だったと気づいた。
淳次にとって無二の親友である拓麻がちょうど今、記憶を失って苦しんでいるのだ。
絶対に言ってはならない言葉を言ってしまったと思い、美香は青ざめる。
淳次は、普段の彼らしくもない、毅然とした態度で言った。
「美香に何があったのか、今の俺はまだ知らない。だけど、拓麻が今、記憶を失って苦しんでいるんだから、そういうことは言わないでくれ。拓麻の気持ち、美香だって分かってるんだろ」
母子家庭で育ち、男性から叱られるという経験をほとんどしたことがなかった美香に、その言葉が響いた。

