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記憶の彼方に眠る恋
第2章 過去の恋、現在の憧れ

同じく困り果てた紗友莉は、「うん」と言って頷きうつむいた。
近くにコンビニでもあれば、傘を買うことができるのだが、あいにく二人が通う高校は自然豊かな場所にあり、駅前にすらコンビニはないのだ。
駅前の売店には売っているようには思われたが、二人が雨宿りをしている場所から駅までは、どんなに急いでも10分以上はかかる。
どんよりと雲に覆われた空を見上げてから、視線を紗友莉に移した拓麻が言った。
「紗友莉も濡れてしまったか。急いで着替えないと風邪をひきそうだな」
そう言い終ると、突然そっぽを向く拓麻。
怪訝に思った紗友莉が自身の上半身に目をやると、その理由はすぐに分かった。
衣替えがまだということで、制服はいまだ生地の薄い夏服のままなのだが、雨に濡れたことでかなり透けてしまっているのだ。
赤面し、慌てた紗友莉だったが、両腕で上半身を露骨に隠してしまうと、かえって人目についてしまうので、どうすることもできない。
恐る恐る拓麻の様子を伺うと、不自然なほどに紗友莉のほうを見ないようにしてくれている様子だ。
申し訳ないと思いつつ、気まずさも感じながら、紗友莉はこの場を取り繕う話題を必死に探した。
そんなとき―――。
近くにコンビニでもあれば、傘を買うことができるのだが、あいにく二人が通う高校は自然豊かな場所にあり、駅前にすらコンビニはないのだ。
駅前の売店には売っているようには思われたが、二人が雨宿りをしている場所から駅までは、どんなに急いでも10分以上はかかる。
どんよりと雲に覆われた空を見上げてから、視線を紗友莉に移した拓麻が言った。
「紗友莉も濡れてしまったか。急いで着替えないと風邪をひきそうだな」
そう言い終ると、突然そっぽを向く拓麻。
怪訝に思った紗友莉が自身の上半身に目をやると、その理由はすぐに分かった。
衣替えがまだということで、制服はいまだ生地の薄い夏服のままなのだが、雨に濡れたことでかなり透けてしまっているのだ。
赤面し、慌てた紗友莉だったが、両腕で上半身を露骨に隠してしまうと、かえって人目についてしまうので、どうすることもできない。
恐る恐る拓麻の様子を伺うと、不自然なほどに紗友莉のほうを見ないようにしてくれている様子だ。
申し訳ないと思いつつ、気まずさも感じながら、紗友莉はこの場を取り繕う話題を必死に探した。
そんなとき―――。

