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記憶の彼方に眠る恋
第2章 過去の恋、現在の憧れ

「あ、紗友莉と拓麻君! 傘持ってきてなかった?」
そう声をかけてくれたのは美香だ。
美香の手には、彼女が普段から愛用している紺色の傘が握られている。
美香はこの日、部活に出る予定があったらしいのだが、突然の雨で練習が中止になったのだろう、と紗友莉は想像した。
後で聞くと、全くそのとおりだったらしい。
ともかく、紗友莉と拓麻の事情を察した、人の良い美香は「ちょっと待ってて。傘を買ってくる」と言うと、二人の返事も待たずに矢のごとく走り去った。
拓麻がいくらか安堵の感じられる声で呟く。
「美香のお陰で助かったな」
「うん……。後でちゃんと、傘の代金を美香に返さないとね」
その後、美香が買ってきてくれた傘により、二人は無事に帰宅することができたのだった。
そこで回想を打ち切り、自室の窓へと意識を戻す紗友莉。
依然として雨は激しいままだが、夜の帳が降りつつあるようだ。
時計を見ると、夕食の時間にはまだ早いので、紗友莉は思い立って美香に電話してみることにした。
このところ、美香のほうが仕事で大忙しらしく、紗友莉のほうもそれなりに忙しかったこともあって、電話で連絡をとるのは約1ヶ月ぶりのことだ。
そう声をかけてくれたのは美香だ。
美香の手には、彼女が普段から愛用している紺色の傘が握られている。
美香はこの日、部活に出る予定があったらしいのだが、突然の雨で練習が中止になったのだろう、と紗友莉は想像した。
後で聞くと、全くそのとおりだったらしい。
ともかく、紗友莉と拓麻の事情を察した、人の良い美香は「ちょっと待ってて。傘を買ってくる」と言うと、二人の返事も待たずに矢のごとく走り去った。
拓麻がいくらか安堵の感じられる声で呟く。
「美香のお陰で助かったな」
「うん……。後でちゃんと、傘の代金を美香に返さないとね」
その後、美香が買ってきてくれた傘により、二人は無事に帰宅することができたのだった。
そこで回想を打ち切り、自室の窓へと意識を戻す紗友莉。
依然として雨は激しいままだが、夜の帳が降りつつあるようだ。
時計を見ると、夕食の時間にはまだ早いので、紗友莉は思い立って美香に電話してみることにした。
このところ、美香のほうが仕事で大忙しらしく、紗友莉のほうもそれなりに忙しかったこともあって、電話で連絡をとるのは約1ヶ月ぶりのことだ。

