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記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会
納得した様子でうんうんと頷く綾子が続けて、さも一目瞭然であるかのように言った。
「で、紗友莉はズバリ、拓麻君のことが好きなんでしょ?」
「へ?!」
少なくとも、当時の自分が拓麻に対して特別な感情を抱いていたことを、現在の紗友莉自身も認めているので、図星を突かれた格好だ。
紗友莉は弁解じみた口調で答えた。
「確かに当時はそうだったかも……。懐かしい……」
「今でも好きなんじゃない?」
今度は一瞬言葉も出ないほどびっくりした紗友莉。
しかし、黙っているとあらぬ誤解を与えかねないと思い、取り繕おうとして言った。
「拓麻には今、婚約者さんがいるし……何より、事故のせいで大変な状況なのよ。そんな感情……今はないよ」
「本当~?」
「うん……」
綾子はそれ以上、追及せずに話を変えてくれたが、その表情から「その『拓麻君』って男性と再会した今となっては、鳴澤部長よりも拓麻君に心が傾いているの、私にはバレバレだよ」とでも言いたげなのは、紗友莉にも痛いほど分かった。
紗友莉は心の中で「大変な現状において、拓麻に恋するなんてこと、あってはならないこと」と、何度も何度も呟く、
しかも、自分の指が自然と、拓麻からキスを受けた唇へと伸びてしまうことに気づき、紗友莉はいっそう狼狽してしまう。
気を利かせてくれたのか、綾子がテレビドラマの話題を始めてくれたので、紗友莉は徐々に冷静さを取り戻すことができた。
「で、紗友莉はズバリ、拓麻君のことが好きなんでしょ?」
「へ?!」
少なくとも、当時の自分が拓麻に対して特別な感情を抱いていたことを、現在の紗友莉自身も認めているので、図星を突かれた格好だ。
紗友莉は弁解じみた口調で答えた。
「確かに当時はそうだったかも……。懐かしい……」
「今でも好きなんじゃない?」
今度は一瞬言葉も出ないほどびっくりした紗友莉。
しかし、黙っているとあらぬ誤解を与えかねないと思い、取り繕おうとして言った。
「拓麻には今、婚約者さんがいるし……何より、事故のせいで大変な状況なのよ。そんな感情……今はないよ」
「本当~?」
「うん……」
綾子はそれ以上、追及せずに話を変えてくれたが、その表情から「その『拓麻君』って男性と再会した今となっては、鳴澤部長よりも拓麻君に心が傾いているの、私にはバレバレだよ」とでも言いたげなのは、紗友莉にも痛いほど分かった。
紗友莉は心の中で「大変な現状において、拓麻に恋するなんてこと、あってはならないこと」と、何度も何度も呟く、
しかも、自分の指が自然と、拓麻からキスを受けた唇へと伸びてしまうことに気づき、紗友莉はいっそう狼狽してしまう。
気を利かせてくれたのか、綾子がテレビドラマの話題を始めてくれたので、紗友莉は徐々に冷静さを取り戻すことができた。