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記憶の彼方に眠る恋
第2章 過去の恋、現在の憧れ
 小さい頃から成績優秀な拓麻が合格したことは誰の目から見ても当然のごとく映ったようだが、成績はいつも「中の中」ぐらいだった紗友莉の合格はそうではない。
 この学校のこのコースを受験することを拓麻から聞かされた中学3年生の紗友莉は、拓麻と一緒に高校生活を過ごしたい一心で、死に物狂いになって勉強したのだ。
 その努力の甲斐あって、無事に同じ学校の同じコースに入学することになったのだった。

 そういうわけで、「小中高と、ずっと一緒」の二人が冷やかされてしまうことは、致し方ないことかもしれない。
 紗友莉は深く頷いて「うん、もちろん」と答える。
 すると拓麻は突然、昨夜のテレビドラマについての話を始めた。
 まるで、急いで話を変えるかのように。
 拓麻と長い付き合いの紗友莉には、「照れくさいからかな」と、その理由が薄々分かっていたので、特に不審にも思わなかった。
 紗友莉自身、かなり恥ずかしい気持ちも大きく、この話題転換には安心した部分もあったのだ。
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