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記憶の彼方に眠る恋
第5章 活動開始と友人たち

夕食をともにした後、拓麻と別れて、一人自宅アパートの部屋へと戻ってきた紗友莉。
結局、高3の頃の教室における例のやり取り以外、目だった進展はなかったのだが、少なくとも進展したということが、紗友莉にとっても拓麻にとっても大きなことのように思えた。
洗顔や手洗いなどを終えてから、紗友莉は腰を下ろし、再び補習の日の出来事について回想を始める。
あの日、紗友莉は必死で、課題のプリントに取り組んでいた。
既に午後6時を回っており、窓からはカーテン越しに強い西日が差し込んでいる。
そして、隣の席には拓麻の姿があった。
忘れ物を取りに教室へ戻ってきた拓麻は、「せっかくだし一緒に帰ろう」と紗友莉に言ってくれ、わざわざ待ってくれているのだ。
紗友莉は申し訳ない気持ちでいっぱいになって言った。
「まだもうちょっとかかりそう……。だいぶ待たせちゃうことになりそうだし、申し訳ないから、先に帰ってくれていいよ」
「いや、俺この後別に予定もないし大丈夫。ひとり寂しく帰るより、一緒に帰るほうが俺にとってもありがたいんだってば。俺の事は気にせず、ゆっくりがんばってくれ」
こう言われては、紗友莉には返す言葉がない。
なるべく早く終わらせるしかないと思い、紗友莉は必死で問題文に視線を走らせた。
結局、高3の頃の教室における例のやり取り以外、目だった進展はなかったのだが、少なくとも進展したということが、紗友莉にとっても拓麻にとっても大きなことのように思えた。
洗顔や手洗いなどを終えてから、紗友莉は腰を下ろし、再び補習の日の出来事について回想を始める。
あの日、紗友莉は必死で、課題のプリントに取り組んでいた。
既に午後6時を回っており、窓からはカーテン越しに強い西日が差し込んでいる。
そして、隣の席には拓麻の姿があった。
忘れ物を取りに教室へ戻ってきた拓麻は、「せっかくだし一緒に帰ろう」と紗友莉に言ってくれ、わざわざ待ってくれているのだ。
紗友莉は申し訳ない気持ちでいっぱいになって言った。
「まだもうちょっとかかりそう……。だいぶ待たせちゃうことになりそうだし、申し訳ないから、先に帰ってくれていいよ」
「いや、俺この後別に予定もないし大丈夫。ひとり寂しく帰るより、一緒に帰るほうが俺にとってもありがたいんだってば。俺の事は気にせず、ゆっくりがんばってくれ」
こう言われては、紗友莉には返す言葉がない。
なるべく早く終わらせるしかないと思い、紗友莉は必死で問題文に視線を走らせた。

