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記憶の彼方に眠る恋
第5章 活動開始と友人たち
 少なくとも紗友莉は「先生がチェックに来てくれたのかな」と思ったのだが、入ってきたのは予想に反して、淳次だった。
 拓麻の親友であるがゆえに、紗友莉ともそこそこ仲が良い男子だ。
 淳次はいつもどおり、かすかな笑みを浮かべながら言った。
「補習の最中にお邪魔してごめん」
 紗友莉は首を振って言う。
「もう終わったから大丈夫。淳次君はどうして教室に?」
「いや、廊下の傘立てに傘を忘れたから、取りに戻ってきて。そうしたら、教室に電気が点いてるみたいだし、誰かいるのかなぁって思って」
 ここで拓麻が愉快そうに口を挟む。
「で、いつもの野次馬根性で乗り込んできたわけか」
「ちぇっ、拓麻は手厳しいな」
 淳次も快活に笑いながら言う。
 そんな二人のやり取りを見て、紗友莉は内心「本当にこの二人は仲良しだなぁ」と思った。
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