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記憶の彼方に眠る恋
第5章 活動開始と友人たち

拓麻がさらに言う。
「淳次って、まだ今でも、毎日傘を持ってきてるのか。今日の予報は晴れだったし、ばっちり的中したというのに」
紗友莉は心の中で「確かに」と思った。
「俺が毎日傘を持ってきてるの、拓麻はずっと前から知ってるだろ。急にやめるわけないし。何を今さら」
「まーた、例の『突然雨が降ってきたとき、女の子に向かってサッと差し出すため』とかいう理由か? 朝から気持ちよい快晴だった今日なんか、雨が降るようには到底思えなかっただろ。それに、そんなことのためにわざわざ傘を持ってくるほうが面倒じゃないか?」
「ちょっと! おい、紗友莉の前で変なこと言うなよな~。まるで、俺がやましい計画を胸に秘め、そのためだけに傘を持ってきているみたいじゃないか!」
言った本人だけでなく、拓麻と紗友莉もクスクス笑い、教室内は急に和やかな雰囲気になった。
急に真顔になって、淳次が付け加える。
「女の子に限ってるわけじゃないぞ。俺にとって、男の友人と呼べるのは、拓麻、お前くらいなの、お前もよく知ってるだろ。紗友莉がいる手前、理由は黙っててくれ」
拓麻は察したらしく、「ああ、ごめん」と言って口をつぐんだ。
紗友莉は内心気にはなったものの、淳次本人が話したがらないような話を、詮索することは絶対に嫌なので、黙ってスルーしておくことに。
淳次は腕時計を見ると、慌てた様子で言った。
「おっと、これから用事があるんだった。じゃ、二人ともまた明日」
そして、淳次は手を振ると、くるりときびすを返し、慌しく立ち去っていった。
「淳次って、まだ今でも、毎日傘を持ってきてるのか。今日の予報は晴れだったし、ばっちり的中したというのに」
紗友莉は心の中で「確かに」と思った。
「俺が毎日傘を持ってきてるの、拓麻はずっと前から知ってるだろ。急にやめるわけないし。何を今さら」
「まーた、例の『突然雨が降ってきたとき、女の子に向かってサッと差し出すため』とかいう理由か? 朝から気持ちよい快晴だった今日なんか、雨が降るようには到底思えなかっただろ。それに、そんなことのためにわざわざ傘を持ってくるほうが面倒じゃないか?」
「ちょっと! おい、紗友莉の前で変なこと言うなよな~。まるで、俺がやましい計画を胸に秘め、そのためだけに傘を持ってきているみたいじゃないか!」
言った本人だけでなく、拓麻と紗友莉もクスクス笑い、教室内は急に和やかな雰囲気になった。
急に真顔になって、淳次が付け加える。
「女の子に限ってるわけじゃないぞ。俺にとって、男の友人と呼べるのは、拓麻、お前くらいなの、お前もよく知ってるだろ。紗友莉がいる手前、理由は黙っててくれ」
拓麻は察したらしく、「ああ、ごめん」と言って口をつぐんだ。
紗友莉は内心気にはなったものの、淳次本人が話したがらないような話を、詮索することは絶対に嫌なので、黙ってスルーしておくことに。
淳次は腕時計を見ると、慌てた様子で言った。
「おっと、これから用事があるんだった。じゃ、二人ともまた明日」
そして、淳次は手を振ると、くるりときびすを返し、慌しく立ち去っていった。

