この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
記憶の彼方に眠る恋
第5章 活動開始と友人たち

回想をやめると、コーヒーをいれることにした紗友莉。
準備をしながら、紗友莉は独り言を言った。
「『拓麻が何か言いたそうな様子に見えた』みたいなことを正直に話しちゃうと、今の拓麻ならきっと『ほら、そのときにきっと告白しようとしてたんだよ』みたいな勝手な想像を膨らませ、そう思い込んじゃいそうだし、詳しく話さないで正解だったと思う。今の拓麻なら、何でも全部そっちの方向へ持っていくと思うし……」
ひとりで頷く紗友莉は、冷蔵庫から牛乳を取り出しながらさらに独り言を続ける。
「拓麻が言おうとしてたことって、きっと他愛もないことだと思うな……。言おうとしていたことが何にしても、当時の拓麻が、私のことを好きでいてくれたなんて、そんなことあり得ないから……。わざわざ一緒に帰ろうと、拓麻が黙って私の補習が終わるのを待っててくれたのが嬉しくて、あのときのことは、ことさらはっきりと私は覚えてるんだけど……」
紗友莉は手を休めると、ふうと大きく息をついた。
拓麻が自分の事を当時から好きになってくれていたらどんなによかっただろう、などと思いながら。
準備をしながら、紗友莉は独り言を言った。
「『拓麻が何か言いたそうな様子に見えた』みたいなことを正直に話しちゃうと、今の拓麻ならきっと『ほら、そのときにきっと告白しようとしてたんだよ』みたいな勝手な想像を膨らませ、そう思い込んじゃいそうだし、詳しく話さないで正解だったと思う。今の拓麻なら、何でも全部そっちの方向へ持っていくと思うし……」
ひとりで頷く紗友莉は、冷蔵庫から牛乳を取り出しながらさらに独り言を続ける。
「拓麻が言おうとしてたことって、きっと他愛もないことだと思うな……。言おうとしていたことが何にしても、当時の拓麻が、私のことを好きでいてくれたなんて、そんなことあり得ないから……。わざわざ一緒に帰ろうと、拓麻が黙って私の補習が終わるのを待っててくれたのが嬉しくて、あのときのことは、ことさらはっきりと私は覚えてるんだけど……」
紗友莉は手を休めると、ふうと大きく息をついた。
拓麻が自分の事を当時から好きになってくれていたらどんなによかっただろう、などと思いながら。

