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第5章 活動開始と友人たち

　次の土曜日、午前中の早い時間に、拓麻と紗友莉は高校時代に通い慣れたカフェにいた。
　美香と会うためだ。
　忙しいと言っていた美香だったが、ようやく少し仕事が落ち着いてきたらしく、自由時間も増えてきたという。
　そして、美香は初めて、記憶喪失後の拓麻と対面することになったのだった。


　約束の時間から５分遅れで、カフェへと入ってくる美香に、合図を送る紗友莉。
　美香がそれに気づいて、二人の待つテーブルへやって来ると、三人は軽く挨拶を交わした。
　美香がすぐさま、拓麻を見ながら言う。
「拓麻君……こんな大変なときに、こんな感想を言うのは気が引けるけど……。ますます、すっごくかっこよくなったね！」
　拓麻は素っ気ない様子で「どうも」と言葉を返す。
　今の拓麻にとって、旧知の仲だったほとんどの人々が「初めて会う人」とほとんど同じ存在だと思われるので、「この素っ気ない対応も、仕方ないことかな」と紗友莉は思った。