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記憶の彼方に眠る恋
第5章 活動開始と友人たち
それから数日後―――。
拓麻の部屋には、部屋の主である拓麻の他に、訪ねてきた淳次の姿があった。
挨拶を交わし、お互いの近況について軽く話し合った後、淳次が普段の彼らしからぬ真剣な口調で言う。
「いまだに、頻繁に連絡したり、こうして会ったりできる男の友達は、お前だけなんだよ。だから、早く記憶を取り戻してほしいと、俺も強く願ってる」
「ありがとう。 差し支えなかったら教えてくれ。なぜ、君には友達が少ないのか、その理由を」
「だから~、『男の』って限定してるだろ。女友達はけっこういるんだから」
笑って言う淳次に、拓麻は「すまん」と何度も謝る。
淳次は全く気にする様子もなく言った。
「いいって。で、そのことについてだけど、記憶を失くす前のお前にはちゃんと話したことだし、今のお前にも別に一切隠す必要もないから、説明するよ。俺、幼稚園の頃、クラス内の全員の男から仲間はずれにされて、無視されてたんだ。1年以上もな」
淳次の口調はいつもどおり明るいが、目は真剣な色を帯びている。
黙って聞く拓麻に向かって、淳次は言葉を続けた。
「幼い頃のそういう出来事ってトラウマになりやすいみたいでな。俺にとっては、ばっちりトラウマになってしまった。そのせいで、俺には男の友達が少ないわけだ。高校生や大学生になってからは、少しずつトラウマを克服してきたこともあって、男の同級生や同僚と仲良くなったことはさすがに何度もある。だけど、卒業したり、相手が転勤したりするたび、どうしても疎遠になってしまうな。筆不精でめんどくさがりな俺が、ほとんど電話もメールもSNSもしないからというのは一つの大きな理由かも」
拓麻の部屋には、部屋の主である拓麻の他に、訪ねてきた淳次の姿があった。
挨拶を交わし、お互いの近況について軽く話し合った後、淳次が普段の彼らしからぬ真剣な口調で言う。
「いまだに、頻繁に連絡したり、こうして会ったりできる男の友達は、お前だけなんだよ。だから、早く記憶を取り戻してほしいと、俺も強く願ってる」
「ありがとう。 差し支えなかったら教えてくれ。なぜ、君には友達が少ないのか、その理由を」
「だから~、『男の』って限定してるだろ。女友達はけっこういるんだから」
笑って言う淳次に、拓麻は「すまん」と何度も謝る。
淳次は全く気にする様子もなく言った。
「いいって。で、そのことについてだけど、記憶を失くす前のお前にはちゃんと話したことだし、今のお前にも別に一切隠す必要もないから、説明するよ。俺、幼稚園の頃、クラス内の全員の男から仲間はずれにされて、無視されてたんだ。1年以上もな」
淳次の口調はいつもどおり明るいが、目は真剣な色を帯びている。
黙って聞く拓麻に向かって、淳次は言葉を続けた。
「幼い頃のそういう出来事ってトラウマになりやすいみたいでな。俺にとっては、ばっちりトラウマになってしまった。そのせいで、俺には男の友達が少ないわけだ。高校生や大学生になってからは、少しずつトラウマを克服してきたこともあって、男の同級生や同僚と仲良くなったことはさすがに何度もある。だけど、卒業したり、相手が転勤したりするたび、どうしても疎遠になってしまうな。筆不精でめんどくさがりな俺が、ほとんど電話もメールもSNSもしないからというのは一つの大きな理由かも」