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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

やや冷静さを取り戻した様子の拓麻が、鋭く反論する。
「別にこの街にいても、勉強は続けられるし、建築士としても働けるんじゃない? わざわざアメリカまで戻る意味が俺には分からない」
「そう言うと思った。今は思い出せないと思うが、元々、お前が渡米したキッカケの一つは、ニューヨークに親戚がいるということでな。しかも、建築関係の仕事をアメリカでしているわけだ。なので、大学卒業後も、お前は向こうで働いてくれるもんだと思ってたんだが、なぜかお前は帰国してきた」
そこで父親は少し言葉を切った。
黙って聞いているが、拓麻は全く納得していない様子だ。
そんな拓麻の様子を見ても全く動じず、父親は言葉を続ける。
「だから、アメリカにいるほうが、就職もずっと有利だし、今こうして勉強もできずにブランクが空いてしまっているお前の経歴にも、これ以上傷をつけずに済むと思ってな。幸い、伊集院さんとの縁もあり、伊集院さんのご実家がニューヨークで活動中だし、そちらからの援助や協力も得られると思う。これを機に、伊集院さんとの婚約を正式決定し、渡米するという考えも悪くないのではと思ったが、どうだ?」
「しかし、じゃあ……俺の記憶はもう戻らなくてもいいって、そう言いたいわけ?」
ケンカ腰に言う拓麻。
相次ぐショックを受け、紗友莉は言葉も出ない。
「別にこの街にいても、勉強は続けられるし、建築士としても働けるんじゃない? わざわざアメリカまで戻る意味が俺には分からない」
「そう言うと思った。今は思い出せないと思うが、元々、お前が渡米したキッカケの一つは、ニューヨークに親戚がいるということでな。しかも、建築関係の仕事をアメリカでしているわけだ。なので、大学卒業後も、お前は向こうで働いてくれるもんだと思ってたんだが、なぜかお前は帰国してきた」
そこで父親は少し言葉を切った。
黙って聞いているが、拓麻は全く納得していない様子だ。
そんな拓麻の様子を見ても全く動じず、父親は言葉を続ける。
「だから、アメリカにいるほうが、就職もずっと有利だし、今こうして勉強もできずにブランクが空いてしまっているお前の経歴にも、これ以上傷をつけずに済むと思ってな。幸い、伊集院さんとの縁もあり、伊集院さんのご実家がニューヨークで活動中だし、そちらからの援助や協力も得られると思う。これを機に、伊集院さんとの婚約を正式決定し、渡米するという考えも悪くないのではと思ったが、どうだ?」
「しかし、じゃあ……俺の記憶はもう戻らなくてもいいって、そう言いたいわけ?」
ケンカ腰に言う拓麻。
相次ぐショックを受け、紗友莉は言葉も出ない。

