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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 紗友莉がなかなか答えないことで、迷っていると思ったのか、拓麻はさらに熱く激しいキスを浴びせると、紗友莉を抱きしめる力をやや強める。
 すると拓麻は、自然な動作で、そのまま紗友莉をベッドまで誘導していった。
 当然ながら、紗友莉は驚き戸惑ったが、キスにより全身の力が抜けたようになってしまっているため、抵抗することができない。
 紗友莉をスムーズにベッドの上へと横たわらせると、拓麻は自らもベッドへと入ってきた。
 さすがにまずいと思い、やんわりと抵抗しながら「ダメ」と言う紗友莉。
 しかし、その抵抗や抗議に一切真剣さが感じられないためか、拓麻は全く取り合わずに、紗友莉の上から覆いかぶさるような体勢で言った。
「紗友莉、愛してるよ。お前じゃなきゃダメなんだ……。頼むから、一緒に渡米してくれ」
 言い終わると、再び何度も何度もキスをする拓麻。
 既に拓麻への自分の気持ちに気づいた紗友莉は、至福のひとときに、我を忘れかけてしまう。
 どうにか、気持ちを奮い立たせて、紗友莉が言った。
「その……私、飛行機が怖くて……」
「え?」
 拓麻の動きがピタッと止まる。
 記憶を失う前の拓麻であれば、紗友莉の飛行機恐怖症を知っていたのは間違いないので、こういうリアクションにはならないだろう。
 紗友莉が、修学旅行に参加しないことすらあったので、拓麻にとっても印象深いはずなのだ。
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