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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

紗友莉はゆっくり慎重に、言葉を選びながら言った。
「昔の事なので、私自身、詳しく覚えていない部分も多いんだけど……。幼稚園児だった頃かな、かなり小さい頃……拓麻をケガさせちゃったことがあって……」
思い返すこともツライ出来事で、本来であれば、記憶を失くしている今の拓麻に向かって、わざわざ自分の過ちを話して聞かせる必要性を全く感じない紗友莉ではあったが、「この場を丸く収めるため」というただそれだけのために、話を続ける。
「もちろん、わざとじゃないの。それだけは信じて。わざとじゃないってこと以外は、私ももうほとんど覚えてなくて、おぼろげな記憶なんだけど……確か、拓麻と私が二人っきりで遊んでたときに、拓麻がケガしちゃった……って感じだと思う。その出来事があってから、拓麻のおじさんおばさんたちが、私を見る目が冷たくなっちゃったけど、私は自業自得だと思ってるの。だから、今回の事故のことも、恐らくまだ私に対してわだかまりを抱いてらっしゃるおじさんおばさんからじゃなく、美香から聞いて知ったんだ……。とにかく、あのときは本当にごめんなさい……。ずっとずっと、申し訳なく思っているよ……」
話を聞いているうちに、最初は真顔だった拓麻の表情は、紗友莉を安心させるようなものに変化していた。
「なんだ、そんなことか。紗友莉に悪気がなかったのなら、ただの事故なんだし、全く気にする必要はない。そのときの俺もきっと、紗友莉を責めなかったはずだ。違うか?」
「昔の事なので、私自身、詳しく覚えていない部分も多いんだけど……。幼稚園児だった頃かな、かなり小さい頃……拓麻をケガさせちゃったことがあって……」
思い返すこともツライ出来事で、本来であれば、記憶を失くしている今の拓麻に向かって、わざわざ自分の過ちを話して聞かせる必要性を全く感じない紗友莉ではあったが、「この場を丸く収めるため」というただそれだけのために、話を続ける。
「もちろん、わざとじゃないの。それだけは信じて。わざとじゃないってこと以外は、私ももうほとんど覚えてなくて、おぼろげな記憶なんだけど……確か、拓麻と私が二人っきりで遊んでたときに、拓麻がケガしちゃった……って感じだと思う。その出来事があってから、拓麻のおじさんおばさんたちが、私を見る目が冷たくなっちゃったけど、私は自業自得だと思ってるの。だから、今回の事故のことも、恐らくまだ私に対してわだかまりを抱いてらっしゃるおじさんおばさんからじゃなく、美香から聞いて知ったんだ……。とにかく、あのときは本当にごめんなさい……。ずっとずっと、申し訳なく思っているよ……」
話を聞いているうちに、最初は真顔だった拓麻の表情は、紗友莉を安心させるようなものに変化していた。
「なんだ、そんなことか。紗友莉に悪気がなかったのなら、ただの事故なんだし、全く気にする必要はない。そのときの俺もきっと、紗友莉を責めなかったはずだ。違うか?」

