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記憶の彼方に眠る恋
第2章 過去の恋、現在の憧れ
 泳ぐように乱れた視線が、拓麻から貰ったものとは違う、もう一方のシュシュへと留まった瞬間、紗友莉はまた別のことを考え始めた。
 この、淡いイエローのシュシュは、元恋人である小早川賢人(こばやかわ・けんと)から貰ったものだ。
 拓麻と離れ離れになり、「誰とも付き合いたくない」と思いつめていた傷心の紗友莉に対し、大学1年生の冬に想いを告白してきてくれたのが賢人だった。
 賢人は紗友莉のサークル仲間で、同じく1年生ということもあり、紗友莉にとっては「最も仲の良い男子の友人」だったといえる。
 もちろん、幼少期から高校までずっと一緒だった拓麻ほど深くお互いの事を知り合っていたわけではないが。
 拓麻に負けず劣らずルックスが良く、そのため女子から相当人気がある賢人からの告白は、紗友莉を仰天させた。
 紗友莉のほうは、拓麻への想いをずっと引きずっており、他の男性に対してあまり「異性」を意識したことはなかったので、なおさらだったかもしれない。
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