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大好きだから...
第15章 守るために
『親として情けない?
ふざけないでよ。
今までママや美織や私のこと
散々ほったらかしたくせに。』
美織とは妹らしい。
彼女は父親からの愛情が少なかったのだ。
だから男の人への愛情の表し方が
分からないのだろう。
「中村。常務はほったらかしたんじゃない。
家族のために一生懸命仕事したんだよ。
それをお前がほったらかしにされたと
向き合ってこなかったんだ。
須藤も親は貿易関係だから
小さい時から留守がちだった。
海外赴任や長期海外出張やらあった。
それでもわずかな時間でも
向き合ったりしたからこそ
今でも仲良しな親子で居られてる。
中村にはそれが必要なんだな。」
『美咲。前の会社で
営業の経験を積んでいた時の君は
素敵だった。輝いていたよ。
さすが私の娘だと思った。
そんな君を好きになる男性を
選ぶんだよ。
それが美咲が幸せになれる方法だから。』
常務の言っていることは分かる。
その通りだと思う。
そして常務はこう続けた。
『もうここには居ない方がいい。
すぐに辞めて自力で職を探して
幸せにしてくれる人を見つけなさい。
結城くんは君の幸せにしてくれる人では
なかったということだからね。』