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世話好きな書店
第2章 レジの裏で……
 八畳ほどのその部屋はインクと紙の匂いが籠っていて、新聞紙のような匂いだ。

 その壁際には、雑誌や文庫本がところ狭しと積見上げられており、僕が通された入り口の済に返品と書かれた紙が挟んである雑誌がナイロンの紐で括られている。

 部屋の真ん中の辺りの小さいテーブルがあって、そこに二つの湯呑みと急須があって、その一つには紅茶のティバッグが入ったままだ。

 僕はその窓際にあぐらで座る。入り口の近くに座る彼女とは対面するような位置関係だ。

 彼女は正座だ。

「あの……お名前はなんと……お呼びしたら……」

 僕が彼女に話しかける。僕の目が彼女の胸あたりに動く。名札は無いようだ。

「じゃあ、私の名前をお客さまがお付け下さいね」

 丸い目が真っ直ぐ僕を見て言った。でも、あくまでも事務的に……。
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