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世話好きな書店
第2章 レジの裏で……
「……なら、朱里(じゅり)…………と言うのは……?」

 朱里というのは、先月別れた彼女の名前だ。よほど未練があるのだろう、最初に僕の口をついて出たのだから……。

「……朱里ちゃん……素敵な名前」

 朱里が白い歯を見せた。

「お客さまは……なんと……」

「……じゃあ僕は……悠斗(ゆうと)で……お願いします」

 悠斗というのは僕の本名だ。

「悠斗さん……優しそう……」

 朱里が丸い目を細める。

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 朱里と僕の間に沈黙が続く。僕の脈拍が彼女に聞こえるのではないかと思うくらいに……。

「さあ……」

 ふうっと息を吐き、僕が切り出した。

「はい……」

 朱里が小さく頷いた。

「最初にキスをするシーンを……再現したいなあ……と……」

 ボクサーパンツのなかの僕がムクムクと起き上がる。これからの期待で……。
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