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臥龍の珠
第3章 三顧の礼
小さなため息が聞こえ、亮は下から珠の顔を覗き込んだ。珠の顔は憂いを含んでわずかにくもっている。
「どうしました?」
「私にも子供を抱ける日がくるでしょうか」
結婚して五年、仲睦まじく暮らす二人にはいまだに子供ができなかった。しかし亮には跡継ぎが必要だ。諸葛の名を継ぐ男子が。
「私の他に妾を……」
「嫌です」
珠に皆まで言わせず、亮はきっぱりと告げた。うつむく珠を抱きしめ、耳元でささやく。珠は顔を上げようとしたが亮の腕はびくともしなかった。
「できなくても別にいいじゃないですか。あなたが私以外に抱かれないのと同じように、私もあなた以外を抱くことはありません」
にこりと笑い、いとおしげに珠の頬に口づける。
「兄に三人目の男の子が生まれたと聞きました。うちで一人くらいもらっても、バチはあたらないでしょう」
まるで猫の仔をもらうような口ぶりだった。
「だからあなたは何も気に病むことはないのです。ね?」
珠はこくりと首を縦に振った。優しい夫が嬉しかった。だが、だからこそ夫との子供が心の底から欲しいと思っていたのだった。
「どうしました?」
「私にも子供を抱ける日がくるでしょうか」
結婚して五年、仲睦まじく暮らす二人にはいまだに子供ができなかった。しかし亮には跡継ぎが必要だ。諸葛の名を継ぐ男子が。
「私の他に妾を……」
「嫌です」
珠に皆まで言わせず、亮はきっぱりと告げた。うつむく珠を抱きしめ、耳元でささやく。珠は顔を上げようとしたが亮の腕はびくともしなかった。
「できなくても別にいいじゃないですか。あなたが私以外に抱かれないのと同じように、私もあなた以外を抱くことはありません」
にこりと笑い、いとおしげに珠の頬に口づける。
「兄に三人目の男の子が生まれたと聞きました。うちで一人くらいもらっても、バチはあたらないでしょう」
まるで猫の仔をもらうような口ぶりだった。
「だからあなたは何も気に病むことはないのです。ね?」
珠はこくりと首を縦に振った。優しい夫が嬉しかった。だが、だからこそ夫との子供が心の底から欲しいと思っていたのだった。