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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第6章 開封
「ふむ・・・」
副大臣を執務室に招いた大臣は、説明を聞きながら書状を検めました。
そして、執務机の上に書状を置くと、腕組みをして、考え込み始めました。
「これは、城の中でも最高位にある御方向けのものでもおかしくない品であろう・・・本来ならば、王の御前で開封し、その後の処置を相談申し上げるのが筋かと」
「王に心当たりを尋ねる前に、開封してみるべきではないでしょうか」
大臣の返答を聞いた副大臣は、自分の考えを大臣に投げかけました。
「それも一理ある。しかしこれは私信であるぞ。高貴な方宛てかも知れぬ私信を、他人が開封すると言うのは、のう・・・」
「何かのまじないが施してあるかもしれませぬ。そうであれば、このまま王にお届けするのはいかがなものでしょう」
副大臣の言葉を聞いた大臣は低い唸り声を上げ、しばらく考えた後に、言いました。
「・・・まじないがかかっておれば、徒に王を傷つける結果になるやもしれぬな」
よし、と頷くと、大臣は机の引き出しから、柄に細工が入った重厚な銀のナイフを取り出しました。
そのナイフで封を切り、ちらっと中に目を走らせ。
書状の中が副大臣にも見えるように、広げて机の上に置きました。
「これは、」
書状を目にした副大臣は、思わず驚きの声を上げました。
「大臣、これは・・・白紙ではないですか」
「そのように見えるな」
大臣は溜息を吐いて目を閉じ、独り言のように呟きました。
「これは我々のような上級の家臣に宛てたものでも、王に宛てたものでもあるまい」
「では」
「『ツグミ』」
では誰に、と副大臣が言おうとしたのを遮るように。
「これはおそらく、『ツグミ』宛てであろうよ」
大臣の、溜息交じりの言葉が漏れました。
副大臣を執務室に招いた大臣は、説明を聞きながら書状を検めました。
そして、執務机の上に書状を置くと、腕組みをして、考え込み始めました。
「これは、城の中でも最高位にある御方向けのものでもおかしくない品であろう・・・本来ならば、王の御前で開封し、その後の処置を相談申し上げるのが筋かと」
「王に心当たりを尋ねる前に、開封してみるべきではないでしょうか」
大臣の返答を聞いた副大臣は、自分の考えを大臣に投げかけました。
「それも一理ある。しかしこれは私信であるぞ。高貴な方宛てかも知れぬ私信を、他人が開封すると言うのは、のう・・・」
「何かのまじないが施してあるかもしれませぬ。そうであれば、このまま王にお届けするのはいかがなものでしょう」
副大臣の言葉を聞いた大臣は低い唸り声を上げ、しばらく考えた後に、言いました。
「・・・まじないがかかっておれば、徒に王を傷つける結果になるやもしれぬな」
よし、と頷くと、大臣は机の引き出しから、柄に細工が入った重厚な銀のナイフを取り出しました。
そのナイフで封を切り、ちらっと中に目を走らせ。
書状の中が副大臣にも見えるように、広げて机の上に置きました。
「これは、」
書状を目にした副大臣は、思わず驚きの声を上げました。
「大臣、これは・・・白紙ではないですか」
「そのように見えるな」
大臣は溜息を吐いて目を閉じ、独り言のように呟きました。
「これは我々のような上級の家臣に宛てたものでも、王に宛てたものでもあるまい」
「では」
「『ツグミ』」
では誰に、と副大臣が言おうとしたのを遮るように。
「これはおそらく、『ツグミ』宛てであろうよ」
大臣の、溜息交じりの言葉が漏れました。