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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第39章 婚約者の帰郷
夏も終わりに近づいた、ある夜のこと。
この日の昼間はこの地では珍しく蒸し暑く、夜になっても空気が熱を帯びておりました。
蒸し暑さのせいでしょうか、夕方から昇り始めた月は赤く見え、天空に上るにつれて、黄色く輝き始めました。
「サクナの故郷の暑さって、こんな感じ?」
スグリ姫は自分の部屋で、婚約者と二人で過ごしておりました。
婚約者のサクナは、彼の幼馴染の見合いの従者としてこの地にやって来て、半月余り経ちました。
今ではその幼馴染の見合い相手であったスグリ姫と婚約しているのですから、人生と言うのは、何が起こるか分からないものです。
「そうだな…涼しい日で、こんな感じか?動かねえでも汗だくになるくらい、暑い日もあるぞ」
「うわー、楽しみ!」
「そこは『うわー、嫌だ』とか、『うわー、大変そう』とかじゃ無えのか」
姫が育ったこの辺りは、気候の変化が穏やかな土地です。
そういう場所で育ったのなら、動かなくても汗だくになるような暑さというのは、嫌なものではないでしょうか。
サクナは、姫に怪訝そうな顔を向けました。
「大変かもしれないけど、暑い方が『スイカ』が美味しく食べられそうよね!」
「ぶっ、」
姫とスイカの因縁を思い出し、サクナは思わず吹き出しました。
「お前はスイカがほんとに好きだな!」
「うん、好きよ?スイカが来たから、サクナが私を好きになってくれたんだもの」
「…っお前はっ…」
この可愛すぎる生き物をどうしてくれようか、とサクナが思った瞬間。
「あぁんっ!…えっ?」
「ん?腕か?」
姫の体に触れようとしたサクナの手が、姫の上着の短い袖から出た二の腕あたりを掠め、姫は思わず短い声を漏らしました。
その声は、姫がサクナの手によって感じているときに出す声と、大変近いものだったのです。
見ると、腕に触ってそんな声が漏れたことに姫自身も驚いて、真っ赤になっておりました。
「お前、ここも感じるのか?」
白い二の腕に触れると、姫は真っ赤な顔のまま、幽かに震えました。
「んっ…短い袖って、十六になった…ときからっ、着た事無かった…から、分かんない、っ」
「ああ。そう言えば、そうだよな。…せっかくだから、試しておこうな」
姫の二の腕を、触れるか触れないかの距離で撫で続けると、姫の瞳は熱で潤んで来始めました。
この日の昼間はこの地では珍しく蒸し暑く、夜になっても空気が熱を帯びておりました。
蒸し暑さのせいでしょうか、夕方から昇り始めた月は赤く見え、天空に上るにつれて、黄色く輝き始めました。
「サクナの故郷の暑さって、こんな感じ?」
スグリ姫は自分の部屋で、婚約者と二人で過ごしておりました。
婚約者のサクナは、彼の幼馴染の見合いの従者としてこの地にやって来て、半月余り経ちました。
今ではその幼馴染の見合い相手であったスグリ姫と婚約しているのですから、人生と言うのは、何が起こるか分からないものです。
「そうだな…涼しい日で、こんな感じか?動かねえでも汗だくになるくらい、暑い日もあるぞ」
「うわー、楽しみ!」
「そこは『うわー、嫌だ』とか、『うわー、大変そう』とかじゃ無えのか」
姫が育ったこの辺りは、気候の変化が穏やかな土地です。
そういう場所で育ったのなら、動かなくても汗だくになるような暑さというのは、嫌なものではないでしょうか。
サクナは、姫に怪訝そうな顔を向けました。
「大変かもしれないけど、暑い方が『スイカ』が美味しく食べられそうよね!」
「ぶっ、」
姫とスイカの因縁を思い出し、サクナは思わず吹き出しました。
「お前はスイカがほんとに好きだな!」
「うん、好きよ?スイカが来たから、サクナが私を好きになってくれたんだもの」
「…っお前はっ…」
この可愛すぎる生き物をどうしてくれようか、とサクナが思った瞬間。
「あぁんっ!…えっ?」
「ん?腕か?」
姫の体に触れようとしたサクナの手が、姫の上着の短い袖から出た二の腕あたりを掠め、姫は思わず短い声を漏らしました。
その声は、姫がサクナの手によって感じているときに出す声と、大変近いものだったのです。
見ると、腕に触ってそんな声が漏れたことに姫自身も驚いて、真っ赤になっておりました。
「お前、ここも感じるのか?」
白い二の腕に触れると、姫は真っ赤な顔のまま、幽かに震えました。
「んっ…短い袖って、十六になった…ときからっ、着た事無かった…から、分かんない、っ」
「ああ。そう言えば、そうだよな。…せっかくだから、試しておこうな」
姫の二の腕を、触れるか触れないかの距離で撫で続けると、姫の瞳は熱で潤んで来始めました。