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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第39章 婚約者の帰郷
「大丈夫か、スグリ」
「ふぇっ…ちゃんと、いきたっ…サクナの、ほし…っ」
サクナは姫を自分の上に座らせたまま、姫に欲しいと乞われた物を、姫の中に深く咥えさせてやりました。
「んっ…あ、…すっごい、いっぱい…うれしっ…」
スグリ姫は汗に濡れた泣きそうな顔で、笑いました。
「お前はっ…これじゃ、置いてけねぇ、」
「あん、いっ…あ…サクナぁ、すきっ、すき」
上り詰めながら抱きしめると、おいてっちゃやぁ、という小さい声が聞こえました。


「…俺と一緒に、行きたいのか?」

落ち着いた後サクナがそう聞くと、姫は何も答えないまま、枕にぼふっと顔を埋めました。
サクナは明日、故郷に帰る予定でした。
もともと、従者として付いてきただけなのです。短ければ五日で戻れるはずが、長逗留になっていました。
やらねばならないことが、溜まっているでしょう。

「俺も、そうしたいけどな」
サクナとて、姫と離れたいわけがありません。
早く故郷に連れて行きたいのは山々ですが、先のことを考えると、得策ではありません。

「分かってる。言うつもりじゃなかったの。…困らせて、ごめんなさい」
スグリ姫はそういうと、今度は枕ではなく、サクナの胸にぎゅっと顔を埋めました。
「やらなきゃならねえ事だけやって、すぐ戻る。王太子様の式に間に合うようにしねえとだしな」
「うん…私の婚約者様の、お披露目でもあるものね」
「それもあるが、」
「え?」
「お前をそんなとこに一人で放り込んだら、絶対虫が付く」
「むし?…んんっ」

不思議そうな顔をした婚約者に口づけしてまじまじと眺めると、白い肢体と上気した表情が、月の光を浴びて艶やかな色香を放っておりました。
「…やっぱり、一緒に行くか?」
「だめっ」
「ダメじゃないだろ」
「だめ。自分で、だめって、言ったじゃない」

拗ねるように尖らせた唇も、最高の献上品の桜桃のように、紅くみずみずしく、艶々としています。
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