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第39章 婚約者の帰郷

「…今更心配になった。」
「なにが？」
「…お前、美味そう過ぎる」
「え？」
「見る目が節穴な奴でも、完熟なのが丸分かりだ」

自分が姫を食べ頃にしたのだと頭では分かっていますが、一人残していくことを考えたら、城を出るなりまた全速力で引き返してしまいそうです。

「外出るな。誰にも会うな。なんなら引き出しに入っとけ」
行きたくねえな、と言いながらあちこちを撫で回しては口づけてを繰り返していると、姫に頭をぺちんと叩かれました。
「ばか、あ」
「なんだよ」
「…他の人っ、には、こんな風に、ならない、もん」
スグリ姫はそういうと、潤んだ目で桃のような頬をぷぅっと膨らませています。
見る度にサクナ基準の「エロ可愛い」記録を更新し続けるスグリ姫に、サクナは眩暈がしてきました。
「他でこんな風になったら、本っ気で困るぞ、」
「あ、んっ」
安定の不機嫌顔になったサクナに、スグリ姫はちょっと困ったように笑い、首に手を回して鼻先にちゅっと口づけました。
「イイコで待ってる。…そのかわり、行く前に、いっぱいして。」
「ああ。いっぱいイっとけ、お姫様。」
よしよし、と髪を撫でられ、くすくす笑ったスグリ姫は、くすぐったそうな顔をして、婚約者にぴったりと抱きつきました。