この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第12章 99人目の道場破・・・もとい、釣書き
小さな国の十四代の治世も円熟を迎えた、ある初夏の日。
茶色の目と薄茶色の巻き毛を持った人懐っこそうな若者が、城の最上階の豪奢な廊下を、鼻歌交じりで歩いておりました。
軽装ではありますが、生地も仕立てもよさそうな衣服を身に着けています。
手には、何やら四角い書状のようなものを持っておりました。
若者の名はハンダマ。
この国の王子で、当年とって21歳になります。
ハンダマ王子は重厚な扉の前で立ち止まり、軽く扉を叩くと、声をかけました。
「姉様、入るよ」
開かれた扉の奥には、温かみのある色合いでまとめられた、上品な調度のある空間が広がっていました。
かつてこの国に投げかけられた黒い魔女の呪いを肩代わりした赤子は、姫でした。
呪いの肩代わりが行われた翌日に、姫の誕生が発表され、国中が喜びに満ち溢れました。
姫は、スグリ姫と名付けられ、すくすく大きくなりました。
すくすく大きくなって、
もっと大きくなって、
さらに大きくなって。
今や、26歳になっていました。
「あら御機嫌よう、王太子様」
現代の26と言ったら「お年頃」ですが、この国のこの時代の26と言ったら、「年増」です。
自暴自棄になりがちなお年頃のスグリ姫は、城内では弟にいじられたり弟をいじったりして暮らしておりました。
「王太子って呼び方、聞き慣れないからやめてって言ってるでしょ」
姫の横の椅子に腰掛け、姫付きの侍女にお茶を給仕されながら、王子は手に持っていたものを姉に差し出しました。
「ほら、久々に来たよ、道場破り。」
茶色の目と薄茶色の巻き毛を持った人懐っこそうな若者が、城の最上階の豪奢な廊下を、鼻歌交じりで歩いておりました。
軽装ではありますが、生地も仕立てもよさそうな衣服を身に着けています。
手には、何やら四角い書状のようなものを持っておりました。
若者の名はハンダマ。
この国の王子で、当年とって21歳になります。
ハンダマ王子は重厚な扉の前で立ち止まり、軽く扉を叩くと、声をかけました。
「姉様、入るよ」
開かれた扉の奥には、温かみのある色合いでまとめられた、上品な調度のある空間が広がっていました。
かつてこの国に投げかけられた黒い魔女の呪いを肩代わりした赤子は、姫でした。
呪いの肩代わりが行われた翌日に、姫の誕生が発表され、国中が喜びに満ち溢れました。
姫は、スグリ姫と名付けられ、すくすく大きくなりました。
すくすく大きくなって、
もっと大きくなって、
さらに大きくなって。
今や、26歳になっていました。
「あら御機嫌よう、王太子様」
現代の26と言ったら「お年頃」ですが、この国のこの時代の26と言ったら、「年増」です。
自暴自棄になりがちなお年頃のスグリ姫は、城内では弟にいじられたり弟をいじったりして暮らしておりました。
「王太子って呼び方、聞き慣れないからやめてって言ってるでしょ」
姫の横の椅子に腰掛け、姫付きの侍女にお茶を給仕されながら、王子は手に持っていたものを姉に差し出しました。
「ほら、久々に来たよ、道場破り。」