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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第19章 スグリ姫の実力
「ほー、こいつはたまげた」
「大きい果物だなあ」
周りに居た使用人たちも、次々と驚きを口にしています。
「ねー、大きいよねー!すごいよねー!これ、サクナが作ったんだって!」
姫はスイカを抱えて見せ歩きながら使用人たちにサクナを紹介し、周りの人々はあんたがこれを作ったとはねえ、と、よく分からないなりにサクナに賛辞を送りました。
「サクナー。これ、どうやってとれるの?」
「・・・どうやって、って」
どうやってもこうやっても、スイカはスイカです。
スイカの種を蒔き、苗になったらそれを畑に植えて水をやり、肥料をやり、大きくなりすぎる前に、収穫です。
どう説明すれば良いのか考え込んでいるサクナに、姫がとんでもないことを言いました。
「スイカ、どんな木になってるのかなー?こんなに大きいから、すっごい大きい木なんでしょうね!」
「・・・ぶほっ!!」
サクナは、さっきの笑いの比ではなく、発作のように笑い始めました。
(スイカが・・・スイカがなる木・・・!!!そんなもんがあるなら、俺も拝みてぇ…!!)
サクナの頭の中には、ジャックと豆の木の物語の豆の木のような、恐ろしく太い蔓が浮かびました。
つるのところどころに、大きくて丸いスイカが重そうにぶら下がっています。
ひとしきり笑うと、サクナはスイカを指差して、説明しました。
「ひっ…姫っ。スイカはっ、蔓になるんだ。豆やなんかと、同じだな。豆は支柱を立てて巻き付けるけど、スイカは地面に這わせとくんだよ」
「えええ?そうなの!?」
サクナのその説明を聞いて、姫は自分がとんでもない勘違いをしていたことに気付きました。
そして、ぼんっと音がしそうなくらい、顔を真っ赤に染めました。
「もー、サクナの意地悪ー!最初から、そう教えてくれたらいいのに!」
サクナとはもう口きかない!と、姫は臍を曲げました。