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くすくす姫と百人の婚約者(フィアンセ)
第19章 スグリ姫の実力
「…っく。」

「え、何っ!?」
座り込んだ頭の上の方から変な音が聞こえて、スグリ姫は辺りを見回しました。
見回した周りには、何も変わったところは有りません。
ただ、上のほうから、何やら声が聞こえます。
スグリ姫は、顔を上げて、天井の方を見上げました。

「っく…なんでそんなに固まって、っ、じーっと、見てんだ?」
「え?え??…だって、見るでしょう?見なきゃ!今まで見たことも無い、珍しいものなんだから!」
サクナの方を向いてそう言いながら、姫の目はスイカよりもっと珍しいかもしれないものに、釘付けになりました。

サクナが腹を抱えて、笑っています。
今日会った時からほとんどの時間は眉をひそめて機嫌の悪そうな顔をしていたサクナが、笑い転げています。

(うっわー、サクナって、笑えるんだー!)

「くくくくく!スイカは獣じゃなくて、果物だぞ!そんなに見てても、何も、起こらねえって!」
スグリ姫は、「笑い転げるサクナ」と言う思っても見なかった珍しいものを、先程の木箱よりもじーーーーーーーーっと、穴が開くほど見つめました。
「あーおかしい、笑った笑った・・・おい!」
いつの間にか姫にじーーーーーーーーっと見られているのに気付いたサクナは、途端に眉をしかめました。

「あああああ!なにそのしかめっ面!台無しー!!!」
スグリ姫は、じたばたしました。

「あーん、勿体無いー!!せっかく、珍しいものが見れたのにー!!」
「俺は珍獣か!!!」

姫を黙らせるには箱を開けるしかないと思ったのでしょう。
サクナはさっさと最後の釘を抜きました。
「ほらよ」
と、蓋を開けると。

「うわー、おっきーい!すごーい、縞々!!!」
姫は初めて見るスイカに、夢中になりました。

「これ、持ってみていい?」
目をきらきらさせて聞いてくるスグリ姫に、サクナは「持てるもんなら」と答えました。
「よーっし!!よーい、しょっと…わわわ、重たーい!!」
スイカを抱えて、姫はまたもや大騒ぎです。
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