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道案内
第1章 道案内

「ん?」
それまで歩いていた女の足がぴたりと止まった。
「んん?」
そして何度か唸ると、女はぐるりとあたりを見渡した。
彼女が立つその場所は、閑静な住宅街のなかにある、小さな交差点のど真ん中。
「あれ……ここ────どこ?」
参った。完全に道に迷った。
女はがっくりと肩を落とした。
何しろ彼女は生来の方向音痴である。どこに行っても道に迷うし、何なら、一度来たことがある場所にすらたどり着けないこともあるくらいだ。
道を聞きたいが、人が歩いていない。割と狭い道なので、車すら通っていない。
「そういえば……」
ついさっき、公園を通り過ぎた。
もしかしたら、公園になら人がいるかもしれない。
混乱した頭を一度クールダウンさせるためにも、とりあえず公園で一休みしよう、と決めた。

