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第7章 めじけ 章7第
「………うるせぇよ」
それだけ言葉を返すと、兄貴はケラケラと笑って頰を掻いた。
「さすがにそれはないか!」
予想外の反応。
もしかして、こいつ何も知らない…?
幸は、意外と口が堅いのかもしれねぇ。
そんな事を思って安心していると、兄貴は暴力的とも言えるほどニコニコしながら言葉を続けた。
「てか桜ちゃんめちゃくちゃ若いしな!」
「………っ…」
「もしかして大学生?」
「そんなに若くねぇよ!!」
思わず大きな声で返すと、兄貴は目を丸くしたあと、再び無神経に口を開く。
「まあ…いずれにせよ、いい大人のお前が、40前の兄貴相手に嫉妬する訳ないよな。悪い悪い」
わざと言ってんのかと思って表情を伺うが、全くもって飾っていないその様子を見てそのまま何も言わずに黙った。
でも、それが悪かった。
「てか嫉妬云々とかいう前に…普通に考えて、36歳でむさ苦しくて……」
「──────っ─…」
「しかも、バツまで付いてるお前が…」
「────っっ─……」
「いくらかわいいからってあんな若い子に、惚れるなんてこと…」
「っっ……───っ──」
「有り得ないよな!」
屈託のない笑顔。
直視が出来ずに俺は片手で自分の顔を覆った。
桜といい兄貴といい…
遠慮もなくグサグサ言いやがってっ……
「どーした? 達也」
……そういや、こいつ、昔からトンでもなく鈍感なんだった…。
「なんでもねぇよ…っ」
そんな兄貴に俺はバレないように小さく溜め息をついた。