この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第8章 物本 第9第
「お客さん、もう閉店するけど」
顔も上げられずに、そっけなくそんなことを言ってしまったことを後悔した。
でも余裕がない。
ホント情けねぇと思っていたら、お疲れ様です…と声が聞こえて俺は目を見開いた。
「……桜??」
視界がぼんやりして歪む。
もしかしたら、幻覚かもしんねぇ…
「お前、なんで…」
本当に桜だよな…
そんな疑問を持ちながら、近付く。
「やることなくて」
顔がぼんやり見える。
やっぱり桜だ。
「んなこと言ったって、もう締めるだけだぜ」
何かあったんだろうか…
それが気がかりでさらに近付いたら、また視界がぐにゃりと歪んで、体がよろけた。
「大丈夫ですか?」
それはこっちのセリフだってのに、逆に桜にそんなことを言わせてんのが嫌になった。