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第8章 物本 第9第



フラフラしながら桜の後を追うと、桜は流しに溜まった洗いものを見てた。



まあ…全然手が回ってなかったから、正直手伝ってくれるのは嬉しい。



それに、いいって言ったってどうせ桜は罪悪感満載の表情を見せるんだし、このままお願いすることにして観念した。




客がどんどん帰っていく。




再び桜の横顔を見て、胸が苦しくなった。



今までとは明らかに違う。





「なんか…あったのか?」




何も言わない桜に耐えきれずに切り出すと、桜は俺の方を見ずに流しのグラスを指差した。




「こんな風に重ねたら、グラス割れちゃいますよ」



「あぁ……悪りぃ」





話をそらそうとしているのは明らかだった。



でも、何かあって、それでここに来たのだから、今は無理に聞く事はせずに桜が話すまで待つ事にして、俺は自分の作業に戻った。


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