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第8章 物本 第9第
ようやく、全ての客が帰った。
桜は無心に作業をしている。
そうすることで落ち着こうと、そうしてるのが分かる。
でも、たまに見せる表情はやはり虚ろで、心配だ。
作業が一段落してから、紅茶でも入れてやろうと思っていると、奥からガシャーーーン!とグラスの割れる大きな音がして、俺は慌ててカウンターから飛び出した。
テーブルから落ちたグラスが、粉々になって床に広がる。
「おいっ……大丈夫か!?」
それを呆然と眺める桜に駆け寄って、傍にしゃがみ込む。
「すみません……気付かなくて」
力なくそういった桜が、その細い腕を伸ばす。
生気がない。
やっと、最近徐々に笑うようになってきたと思ったのに
桜は2年前の面接の時のような、そんな表情に戻っていた。