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第8章 物本 第9第
桜は、その腕を伸ばして粉々になった破片を素手で掴もうとしている。
危うくて、消えそうで……
ふわふわと漂うその腕を、俺は瞬間的に掴んだ
「バカ!!あぶねぇだろ!!素手で触る奴があるか!!!」
咄嗟のことに思わず声を上げると、自分の声が響いて頭が痛んだ。
桜はハッとしたように身を固めて俺のことを見つめた。
……やべ…さすがに強く言い過ぎた…
そう反省しながら、俺は桜のその細い腕を見つめた。
「……怪我はねぇか?」
声の調子を落とすと、桜の体から少し力が抜けたのが分かった。
「大丈夫です……」
こいつの「大丈夫」は信用ならねぇから、じっと腕を見たが、本当に怪我はしてないようで安心した。
「ったく……さっきグラス割れるから気を付けろって言ったのはお前だろ?」
軽く笑いながら、そういうと、桜はすかさず俯いてしまった。
「ごめんなさい……」
その辛そうな姿に思わず顔を覗き込む。