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第8章 物本 第9第
「やっぱり…なんかあったんだろ」
そう尋ねても、桜は俯いたまま何も話さない。
その様子を見てふつふつと怒りがわき上がった。
「また、和明とかいうやつか? またなんかされたんだろ…ったく」
ようやく、前を向き始めてたっていうのに。
苛立ちを抑えられず、俺は頭を派手に掻いた。
「本当に許せねぇ野郎だなそいつは…」
なんで、そんな奴のことを…
桜はいつまでも…。
ぼんやりとしながら、俺は拳をギュッと握った。
イラついているのは……
和明ってやつが、桜を傷付けているからだろうか。
それには間違いない。
だけど、
それだけだろうか───
分からない。
体調が悪いせいか、考えるべきじゃないことがぼんやりと統制も取れずに頭に湧いている。
「違う……」
ようやく言葉を発した桜に俺は向き直った。