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第9章 唇 章01第
そのまま、扉の脇の地べたに、俺は倒れ込むようにして腰掛けた。
マズい…
体調がどんどん悪化している。
壁にもたれながら、ふぅ…と息をつくと、辺りが突然光った。
それに驚いて、すっかり暗くなった空を眺めていると、ゴロゴロと音が響いて、激しく雨が降り出した。
……まじかよ……。
ふと、桜が雨の日に店に来た事を思い出した。
声を上げて泣きわめいて、そして震えていた。
その姿を見て俺は……
結局俺はどっちつかずだ。
守ってやりたいのに、“親父” なんてポジションじゃ足りなくて。
幸せになってくれればいいはずなのに、
欲が出て、“俺が” 幸せにしたいと…そんなバカげた事まで考えてしまっている。