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第10章 体正 章11第




「ちょっと…っ起き上がらない方がいいですよっ…」



「─────……」




少し涙目になりながら、見上げてきた桜にトクンと胸が鳴る。



もう俺の目の前に現れないんじゃ……


そんなことさえ思っていた桜がそこにいる。




それに安心すると、俺は無理に体を起こすのをやめて再び脱力した。






「いくら疲労が溜まってたとしても、風邪ごときで病院に運び込まれるだなんて…」




天井を見上げていると、幸が声を掛けてきた。




「もう若くないってことよ、達也」



「……るせぇな」



「悪態つけるくらい元気なのね。安心したわ」



ふん…と息を吐いて目を瞑る。




自分でも思っていたことを言われて、情けなくなった。



余裕もなく体を壊し、挙げ句桜に取り返しのつかないことをして……今は病院にいる。



本当にありえねぇ。





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