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第10章 体正 章11第
「じゃあ」
幸の声掛けに、桜は慌ててもう行くんですか…!と引き止めている。
俺と二人になるのが気まずいんだろう。
「桜ちゃん、達也をよろしくね!」
幸は事情も知らずにそんな事を言って俺に目配せをする。
「よろしくって…っ」
幸は気を遣ったつもりなんだろう。
だけど、桜は慌てて尚も幸を引き止めようとしている。
そんな桜に複雑な気持ちを抱いていると、幸はそのまま手をヒラヒラとさせて病室から去っていってしまった。
「………………」
「………………」
気まずい、沈黙の時間が流れる。
桜は、幸が去っていってから、扉の方を向いて座ったまま一向に振り向かない。
きっと考え込んでんだろう。
俺のせいでこんな風に思い悩ませている。
それが辛くて、ジッとその背中を見つめた。