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第10章 体正 章11第



中々返事が返ってこず、不安になった。



視界に入る桜の腕。



昨夜ガラスを触れようとしていたことを思い出していると、桜は少しだけよれたシーツを正してふぅ……と息を吐いた。




「私も……昨日はすみませんでした…」



「…なんでお前が謝るんだよ」



「なんでって…」




桜が謝らなきゃならないことなんて何一つない。



悪いのは全部俺だ。





「まさか、あんな雨の中で待ってるなんて、思いもしなくて…」



考えてもみなかったことを気にしている桜に、驚いた。




「あれは…俺が勝手に待ったんだよ」




あの時待ったのは、あのまま帰ることが怖かったから。



そうしたら、二度と桜に会えない気がしたからだ。




でも…と桜が言葉を続けようとしたのを俺は阻んだ。





「悪いのは俺だけだ。だからお前が謝んな」



手を付いて、身を乗り出そうとしたら、桜と手が触れた。




「っ………」




こんな時まで、一々胸を高鳴らせている自分が嫌になった。



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