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第10章 体正 章11第

「……私ばっかり話してるから」



…………は?




「そんなつもりねぇけど?」





「そうじゃないですかっ…」




顔を上げた桜。



その表情は不満でいっぱいだった。



何をそんな不機嫌になってんだ、こいつ……




「今週だって、そんな辛い日々送ってるって私全く聞いてなかったですし。」



「………………」



「何でそんなに隠すんですかっ…」




幸が、余計なことを言ったのは明らかだった。



何をどう話したんだか。




きっと大袈裟に伝わってる。



じゃなきゃこんな風に桜が言ってくる訳がねぇ。




「俺のこと、知りたいのか?」



今さらそんなこと思う訳ねぇよな。




半分からかうつもりでそう尋ねると、桜はムッと口を引き結んで俺を見つめた。





“知りたい”



そんな桜の顔に俺は目を見開く。





「────…っ」





待て……なんでこんな顔してんだこいつ。



不意を突かれて俺は必死に胸の高鳴りを抑えようと黙った。



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