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第11章 風 章21第



「とにかく、ちゃんと、言葉にして伝えなさいよ」



「………っ……」





中途半端に幸に話したせいで、返事に困ってしまった。



桜が色々抱えてる事は、幸には言ってない。



桜は、俺を信頼して…そして頼ってきて、その悩みを打ち明けてきた。




あの時は、頼られたことが嬉しかったのに、気付いたらそれが足かせになっている。




「言えたらとっくに言ってるっ……」




やっぱり俺の都合で、俺の気持ちは言えねぇ。



いつか、そういう日が来るかもしれないけど、それは“いつか”であって、今じゃない。




「そうかしら……? 達也臆病だし、言えたって言わなそうだけど」



「あ?」



俺の反応を見て、幸は再びケラケラと笑い始めた。


ったく…



人が悩んでんのを楽しそうにしやがってっ……




手の甲を口元に当てて表情を隠していたら、幸が突然あれ……?と声を上げた。





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