この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第11章 風 章21第
「とにかく、ちゃんと、言葉にして伝えなさいよ」
「………っ……」
中途半端に幸に話したせいで、返事に困ってしまった。
桜が色々抱えてる事は、幸には言ってない。
桜は、俺を信頼して…そして頼ってきて、その悩みを打ち明けてきた。
あの時は、頼られたことが嬉しかったのに、気付いたらそれが足かせになっている。
「言えたらとっくに言ってるっ……」
やっぱり俺の都合で、俺の気持ちは言えねぇ。
いつか、そういう日が来るかもしれないけど、それは“いつか”であって、今じゃない。
「そうかしら……? 達也臆病だし、言えたって言わなそうだけど」
「あ?」
俺の反応を見て、幸は再びケラケラと笑い始めた。
ったく…
人が悩んでんのを楽しそうにしやがってっ……
手の甲を口元に当てて表情を隠していたら、幸が突然あれ……?と声を上げた。