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第11章 風 章21第



突然ベンチから立ち上がった幸に驚いて、俺は片眉を上げた。



「もしかして…桜ちゃん!?」



「っ……───」





その言葉に、ドキっと胸が鳴った。



まじかよっ……



気が気じゃなくて、桜の顔を直視することが出来ない。




聞かれてねぇよなっ……



いやいやまずいだろ…




もし聞かれてたら、なんて言ったらいいんだっ……




「あのっ……すみません…」





何故か謝っている桜の声が聞こえる。



未だ顔を見ることが出来ず、冷や汗が止まらない。



最悪だ。



確かに今日来るとは言ってたけど、こんなに早くに来るとは思ってなかった。




「やだ!髪切ったのね!すっごくかわいい!!!」




……髪?




焦りに焦っていると、幸がそんなことを言ったので、俺はためらっていたにも関わらず呆気なく顔を上げて桜の方を見た。








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