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第11章 風 章21第
「あ、ありがとうございます……」
両肩を持って迫る幸に、桜は必死で言葉を返している。
太陽に照らされた少し茶色い髪。
長かった髪は、2年前の面接の時と同様肩の上までに切られて、風に靡いている。
「──────……」
その姿を見て、固まっていると、幸が「ねえ達也?」と言いながら振り返った。
俺がハッと我に返ったのと同時に、桜は勢いよく俯いてしまった。
そんな桜を遠目から見つめる。
短くなった髪のせいで、俯いていても頬が紅らんでいるのがチラと見えて───…
「…………………おぅ」
………なんか…こいつ、めちゃくちゃ照れてねぇか…っ
突然そんな表情を見せる桜を、不覚にも可愛いとか思ってしまったせいで、心臓がうるさい。
「なぁに、その素直じゃない反応は」
………うぜぇっ…
何とか言葉を返した俺を、幸が見透かしたように、ニヤニヤしながら見ている。
腹が立って、チッと舌を打とうとしたら、頬を紅らめたままの桜が躊躇いがちに顔を上げ、突然俺に視線を送ってきた。