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第11章 風 章21第
「走ってきたんで…っ」
「なんだその嘘は」
意味が全く分かんねぇバレバレもいいところの嘘をつかれて、俺は目を細めた。
案の定桜は言葉を返さずにモジモジしている。
しかもみるみる顔が紅くなってる。
その表情に再び心臓を高鳴らせながらも、不思議に思ってあれこれ考えを巡らせているうちに俺はハッとした。
「もしかして、お前も風邪か?」
さっき顔が紅かったのも照れてたんじゃなくて熱があったせいかっ…?
うわ……有り得るよな。
無理矢理キスして、風邪うつして、挙げ句紅い顔見て照れてるって勘違いして、胸高鳴らせて、って…
どんだけ最低野郎だよっ……
焦りながら、桜の額に触れようと手を伸ばす。
すると、桜がバッと俺の手を弾いた。
「違います…!」
「……………」
そして、再び俺に背を向けた桜の後ろ姿を、黙って見つめる。
昨日は、謝る俺に、もういいと言ってたけど……
やっぱりそんなすぐに元通りって訳にはいかねぇよな……
あからさまに拒否されて、傷付きながらも、安易に触れようとしてしまったことを反省した。
とにかく……風邪じゃねぇなら良かった。