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第11章 風 章21第
「ちょっと……!」
ライターを取り出すと、桜は慌てて俺の方に寄ってきた。
身を乗り出して、ライターを掴もうとしている。
必死なその姿。
「桜……」
胸がかき乱されて、思わず名前を呼ぶと、桜は、え…?と顔を上げた。
揺れる短い髪。
……たまんねぇ。
やっぱこっちの方が断然桜に合ってる。
タバコを咥えながら思わず微笑んだ。
「───髪、似合ってる」
至近距離で思わず、口からこぼれ出た言葉。
桜は、軽く目を見開くと何故か座っている俺の上にこけそうになって、ギリギリのところで立て直した。
………こけりゃ良かったのに。
そしたらどさくさ紛れに、桜を少し抱き締められたかもしれない。
そんなバカげたことを思いながら、俺はライターの火を付けた。