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第12章 みぼつ 章31第

桜は言葉を返さない。


重苦しい空気が流れて、それを打ち壊すために俺は口を開く。




「こう…突発的に行動する癖、ここの病院で治してくれねぇかな…」



わざとフッと笑ってそういうと、桜は声を詰まらせながら「でも……」と言って身を乗り出した。





「あんな風に言ってくれて……本当に感謝してますっ……」




ギュッと目を瞑りながらそう言った桜に胸がざわついた。



最後、和明の前で気丈に振る舞った桜。



辛かったはずなのに、まだこいつは涙を流していない。


それが気になっている。





「私…今までずっと感情とか、気持ちとか……そういうもの全部押し殺してきて…っ」




丁度そう言い出した桜に、俺は緩く微笑んだ。




「……知ってる」




そして、泣きそうになっている桜の頭に手を乗せた。




そんなこと、今更だ。



「こっちはずっと見てきたんだ。知ってるに決まってんだろ」




「────…」




「よく頑張ったな。この2年間…」




そう言うと、桜はさらに目に涙を溜めて俺の事を見つめた。




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