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第12章 みぼつ 章31第


「だからーそうやって強がんなって言ってんだよ。悲しいうちは泣いとけバーカ」



こういった方が効きそうだと思っていると、桜は椅子から立ち上がって俺に向かって来た。



「バカじゃないっ……」



「おっ………」



突然俺の胸に飛び込んできた桜を受け止めながら、俺は目を見開く。




「っ…ぅぅっ………」




そして声を上げて泣き始めた桜を、俺は黙って抱き締めてその頭を撫でた。



解放……されたんだろうか…



でも、気持ちはそんな簡単になくなるもんじゃない。





「………店長っ……」



「…………」



「やっと……終わりました…っ…」



「………おう」




そう答えて、泣きじゃくる桜を強く抱き締めた。




お前はよく頑張ったよ、ホント。




2年間見てきた俺が、一番それをよく知ってる。





「終わっちゃったっ……」



「……………お疲れ」



「っ…終わっちゃったっ……」





長かった桜の苦しみ。




ひたすらに泣き続ける桜を俺はずっときつく抱き締める。



そして、桜に気付かれないように、桜の髪にゆっくりと口付けた。







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