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第12章 みぼつ 章31第


なんて指示しようか迷う間もなく、桜は溜まっていた空のグラスを見て作業を始めた。




「絡まれてたのか?」



周りの客には聞こえないようにそう尋ねると、また桜は俺を警戒するように微かに震えて、え?と首を傾げた。



え?じゃねぇよ…。



「あの、男二人」



先ほどの二人を見る。



すると、あー…と桜は声を上げた。




「いやいや。お店の再開おめでとうって言ってくれただけです」



「……そーか」



本当に客に下心がなかったのか、それは定かじゃねぇけど…


でも少し過剰反応しすぎたかもしれないと反省しながら、俺は酒を作る作業に戻った。




なんか俺、普通の客にまで嫉妬するようになってねぇか?




情けなくなって、小さく項垂れる。




桜の態度がおかしくなってから、余裕が無くなってる。



また、気持ちが溢れ出ているのを感じてまずいと思った。





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