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第12章 みぼつ 章31第



勢い余ってキスをしてしまったことを思い出す。


……もうあんなヘマはしたくねぇ…。



和明とのことが一旦落ち着いたとはいえ、まだ日が浅すぎる。



また衝動で行動して桜を混乱させるようなことになったら……



とにかく、いつも以上に気持ちを抑え込むように努力しないと、また暴走しそうで怖い。




そんな事を思っていると、扉が開いた音がして、俺はいらっしゃい、と客に声を掛けた。




桜がカウンターを出て軽く頭を下げている。



すると、その客は、桜に向かって「よ!」と言いながら片手を軽く上げた。



「わ……。久しぶり…」




知り合いか…?


桜と同じくらいの年の男。


髪型も整えられていてチャラついていない。


スーツを着ているからきっと会社員なのだろう。


身なりもしっかりしていて、顔もまぁいい。



なんというか……“好青年”と言われる部類の人間だと、そう思った。





「そこ、空いてる?」



「うん」




そしてその男は、たまたま空いていたカウンターに腰掛けた。




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