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第12章 みぼつ 章31第
言われた酒を作りながら、話している桜と樹の姿を眺める。
「………─────」
思わず、酒を作る手が止まった。
一緒にいて違和感のない二人。
むしろ
お似合いってやつだ。
見ていられなくなって、目線を外す。
くだらねぇこと考えてる暇なんかない。
混んでんだから……集中しないと回せねぇ。
そう自分に言い聞かせて、樹の頼んだ酒を手早く作った俺はそれを運ぶ。
なるべく見ないようにしていたのに、桜が樹に微笑んでいるのが何故か視界に入ってしまった。
「……っ…───────」
………別に笑えるんだな。
最近よそよそしくて、様子が変なのは、やっぱり俺に原因があるってことか。
「へぇ。良かった」
そう言いながら、樹が優しく笑う。
その眼差しから、桜の事を大切に想っているのが分かる。
そんな樹に「ありがとう……」と桜がお礼を言った。
「……………………」
穏やかな二人の会話の断片を聞きながら俺は樹の前にグラスを置くと、樹と目が合った。
「どうも」
「………ごゆっくり」
和明みたいに最低なやつだったら、きっとこんなに胸は締め付けられなかった。
その場にいることが出来ず、俺は逃げるようにそこから立ち去った。