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第12章 みぼつ 章31第

「解放してやれとか言ったけど」



「…………」



「あぁいう気心の知れたやつにしとくってのも、ありなんじゃないか…?」




言ったあとで、全く感情が伴っていない自分に呆れた。




「どういう意味?」





……なんだよその質問。





「………そのままの意味だよ」




振り返ることが出来ないまま、俺は小さく溜め息をつく。


桜は何も言わずに黙っていた。





「昔から知ってて、お前を想ってくれてて……」




つらつらと、よくもまぁこんなことが口から出るもんだ。



自分に感心する。




「んでまぁ顔も悪くねぇし…」





桜に言っているというよりも、自分に言い聞かせているのかもしれない。





「樹と付き合えって言ってるんですか?」




桜の言葉に目を見開いた。



そして、作業の手を止めて、俺は振り返った。




桜は、俺の事を真っすぐに強く見つめている。





「それでもいいんじゃねぇか、って言ってるだけだ」




そんなの、俺が決めることじゃない。




むしゃくしゃして、俺はタバコの煙を桜に向かって吐くと煙で桜の表情が見えなくなった。




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